動画制作において、ストーリーボードは撮影や編集の指針となる重要な要素です。アイデアやコンセプトを形にし、関係者と完成イメージを共有するためにも不可欠な存在といえるでしょう。しかし実際には、「どこから作り始めればいいのか分からない」「仕上がりのイメージをどう具体化すればいいのか難しい」など、多くの方がつまずきやすいポイントでもあります。そこで本記事では、ストーリーボードの作成方法から完成度を高めるための具体的なポイント、そしてさまざまな実例をあわせて解説します。
ホームページ制作や動画制作、デザイン、SNS運用、LP制作、ブランディングなど、さまざまなマーケティング施策に力を入れる方にも役立つ内容です。ストーリーボードをしっかりと構築することで、訴求力の高い動画コンテンツを制作し、視聴者の心をつかむ大きな武器となります。実用的な知識を身につけ、より完成度の高い動画制作を目指していきましょう。
目次
ストーリーボードは、動画制作において「絵コンテ」と呼ばれることもあります。いわゆる紙やデジタル上に「場面ごとの絵」や「シーンの流れ」を時系列で示していくことで、動画の構成を視覚化して共有するためのツールです。プロの映像制作現場だけでなく、企業がマーケティングやブランディングの一環として動画を制作する際にも、ストーリーボードは非常に重要な役割を担います。
動画制作の流れを大きく分けると、以下のステップがあります。
○動画の目的とターゲットを決める。 ○どのようなストーリーやメッセージを伝えたいのかを明確化する。
○構成やシーン、キャラクターやテロップの配置などを視覚化。 ○完成イメージを関係者と共有しながら詳細を詰める。
○実際に映像素材を撮影、または素材を用意して編集を行う。 ○BGMや効果音、ナレーションを加え、より完成度を高める。
○YouTubeやSNS、企業サイトなど公開する場所を選定。 ○効果測定を行い、必要に応じて動画を再編集する。
この流れの中でも、ストーリーボードが果たす役割は「具体的なイメージを関係者全員で共有し、全体を正しく把握する」という点にあります。特に、撮影現場や編集担当が複数いる場合、シナリオや完成形を頭の中だけで共有するのはほぼ不可能です。文章だけの台本だと、どこまで文字通りに表現すべきか解釈が曖昧になりがちですが、ストーリーボードなら画面構成を明示的に示せるため、チーム内の共通理解が進みやすくなります。
シーンやアングル、人物の位置関係が曖昧になり、現場で「これはどう撮ればいいのか?」と手が止まってしまう。
・ 編集時の方向性のブレ最終的な仕上がりイメージが定まっていないため、効果音やテロップ、BGMの入れ方でスタッフ同士の認識差が生じる。
・ クライアントとのイメージ齟齬自社制作でも外注でも、完成品を見た際に「こんなはずじゃなかった」となる可能性が高まる。
こうしたリスクを回避するためにも、ストーリーボードをしっかり作成することが必要不可欠です。特に企業のプロモーション動画やSNS向けの短尺動画でも、事前の構成がしっかりしているかどうかでクオリティが大きく変わります。ブランディングにおいて動画が占める位置づけは年々高まっており、撮影や編集に予算と時間をかけるほど「最終成果物の完成度」を見極められる工程が求められています。その要となるのがストーリーボードなのです。
ストーリーボードを作るうえで、基本となるステップは以下の通りです。
動画を制作する目的は何か、ターゲットは誰かを明確に定めます。たとえば、新商品をPRするための動画なのか、企業のブランディング動画なのか、SNS運用で拡散を狙う短尺広告なのかによって、構成や表現手法も変わります。ここがあいまいだとストーリーボードの方向性もブレてしまうため、まずは企画段階でしっかりと意図を固めましょう。
映画やTVコマーシャルのように大がかりなものでなくても、ベースとなるシナリオは必須です。「導入 → 展開 → クライマックス → エンディング」など、動画の流れを大まかに箇条書きで書き出します。言葉だけでイメージをまとめる段階なので、文章ベースで整理しましょう。
シナリオができあがったら、どのタイミングでどんなシーンが展開されるのか、シーンごとに分割してストーリーボードへ落とし込んでいきます。1シーンにつき1コマのイメージを描き、セリフ・動き・撮影方法(カメラアングルやズームの有無)などを記入していきます。
動画の中に登場する人物やオブジェクトの動き、画面遷移のタイミングを検討します。編集でどのような演出効果を入れるかも、ストーリーボードに書き込んでおくと後々スムーズです。どの場面でテロップを入れるか、BGMを変えるタイミングはいつかなど、細かい演出の情報も盛り込みます。
一通り描き終えたら、チームメンバーやクライアントと共有してフィードバックを受けます。そのうえで修正を加え、最終版のストーリーボードを確定させます。ここでしっかりと全員が合意できれば、撮影や編集工程で無駄が減り、予算やスケジュール管理もスムーズになります。
シンプルにA4用紙などにコマ割りして描く。直感的に作成可能だが、修正や共有が手間になる場合も。
・ PowerPointやKeynoteスライドごとにシーンを配置し、イラストや写真を貼り付けていく。チームでの共有がしやすい。
・ 専用ソフトウェア(StoryBoard Quickなど)プロの映像制作現場でよく使われる。写真やイラストのライブラリが豊富で、本格的な絵コンテを作成可能。
・ オンラインコラボツール(GoogleスライドやMiroなど)リアルタイムで共同編集ができるため、複数人で素早く意見交換できる。
上記のようなツールを活用することで、動画制作チームやクライアントともスムーズにストーリーボードを共有できます。自社の状況や制作体制に合わせて最適な方法を選びましょう。
いざストーリーボードを作成してみても、「どうすれば完成度を上げられるのか?」と悩むことは多いでしょう。ここでは、動画の完成度をアップするために押さえておきたい具体的なポイントを紹介します。
動画を視聴するのは誰なのか、そして視聴者にどんなアクションをとってほしいのかを意識してシーンを組み立てます。BtoB企業向けの動画なら、ビジネスユーザーが抱える課題を解決するストーリー展開にしたり、BtoC向けならエンターテインメント性を重視したりと、ターゲットの心をつかむ流れを考えることが大切です。
動画全体の長さが長すぎると離脱を招きやすくなり、短すぎると伝えたい情報が十分に伝わらない場合があります。特にSNS向けやLP制作で使う動画では、短時間でインパクトを与える構成を考える必要があります。一方で、企業PRなど長めの尺が必要な場合は、視聴者が飽きないよう適度にテンポを変える演出や盛り上がりのポイントを挟みましょう。
ストーリーボード上では、「どこでテロップ(字幕やキャッチコピーなど)を入れるのか」「画面構成をどう配置するのか」を入念に検討します。重要なメッセージは画面中央に大きく表示し、補足説明は下部に小さめで配置するなど、視聴者の目線誘導を考慮しましょう。デザインの観点からは、色使いやフォント選定にも配慮が必要です。
音声は動画に大きなインパクトを与えます。BGMの変化や効果音の挿入タイミングによって視聴者の感情が動きやすくなるため、ストーリーボード段階で「あえて無音にする部分」「盛り上がりでBGMを最高潮にする部分」などを明示すると、編集の段階で演出の意図を伝えやすくなります。
映像においても「間」や「余白」は重要です。常に情報を詰め込みすぎると視聴者が疲れてしまい、肝心なメッセージが埋もれてしまいます。シーン切り替えで適度にテンポを変えたり、あえて少しの間(無音状態や静止画状態)を挟むことで、次にくるメッセージを強調できます。ストーリーボードを描く際には、こうした切り替えの場面も明確に示しましょう。
シンプルなアニメーションで企業イメージを素早く伝える。
・ 課題提示シーン企業が解決する社会的問題や、顧客が抱える課題を映像とナレーションで訴求。
・ ソリューション提示シーン自社製品・サービスがその課題をどのように解決できるかをデモ映像で示す。
・ 実績・顧客事例既存顧客の声や、実際の利用シーンを取り入れ説得力を高める。
・ エンディング再度企業ロゴやコンタクト先(WebサイトURLなど)を提示して、問い合わせを促す。
このようにストーリーボード上で細かくシーンを設定し、視聴者が「この企業なら信頼できそうだ」と感じる流れを作れば、動画の完成度は飛躍的に向上します。特にブランディングを重視する企業では、映像のトーン&マナーと企業イメージの統一感が求められるため、ストーリーボードの段階でビジュアルの方向性を固めておくことが重要です。
ストーリーボードは単に「絵を描いてイメージをまとめるだけ」のツールではありません。動画制作に関わる多くの人々を結びつけ、効率的に作業を進めるための“共通言語”として機能します。
撮影スタッフにとっては、どのカメラワークが必要で、どの位置に機材をセッティングするかが明確になります。演者にとっては、自分がどのシーンでどんな表情や動きを求められるのかを把握できるため、現場での混乱を最小限に抑えられます。
編集担当者は、ストーリーボードを見れば「どのシーンでどのような効果を使うのか」「テロップやナレーションを入れるタイミングはいつか」をあらかじめ把握できます。撮影後の素材整理や編集作業を効率化し、修正依頼が後から大きく変更されるリスクも減らせます。
外注や他部門との共同プロジェクトであれば、完成イメージや構成を可視化して説明できるため、承認作業やフィードバックがスムーズです。また、企業内であれば上層部がイメージを共有しやすく、動画の狙いやブランディングとの整合性を検討しやすくなります。
動画制作でありがちなトラブルの一つに、「撮影した映像と想定していた内容が大きく異なる」「編集段階で時間や予算オーバーになる」という問題があります。しかしストーリーボードがしっかりと作成されていれば、撮影前や編集前の段階で問題を洗い出しやすく、早期に修正が可能となります。
また、近年では制作体制の効率化やコスト管理を含め、多角的にプロジェクトを進めるためのプラットフォームとしてDEAPを活用する動きも広がっています。タスク管理やコミュニケーションを一元化することで、ストーリーボードの更新やフィードバックをリアルタイムに共有可能です。こうしたプラットフォーム連携を活用すれば、ホームページ制作やSNS運用など、他のデジタル施策ともシームレスに連動した戦略的な動画制作が期待できます。
ストーリーボードは大規模なCM制作だけでなく、以下のようなシーンでも幅広く活用されています。ここでは実例を交えながら、その応用範囲を解説します。
InstagramやTikTokなどで配信する短尺動画においても、ストーリーボードの考え方は有用です。数十秒の動画であっても、シーンごとに訴求ポイントを整理することで、限られた時間で最大限のインパクトを狙えます。たとえば、新商品紹介なら「商品ビジュアル → 特徴説明 → 使用イメージ → 購入アクションの誘導」という流れをイラストや簡易的な絵でまとめておくと、撮影や編集がスムーズです。
展示会やオンラインセミナー、ウェビナーのオープニング動画など、比較的短い尺で視聴者を引き込む必要がある場合にもストーリーボードが役立ちます。冒頭で視聴者の興味を惹きつける演出や、イベント詳細を分かりやすくまとめる構成など、限られた映像制作の時間でも迷いを最小限にすることができます。
学習用動画を制作する際には、説明の流れや教材の要点をどのタイミングで画面に映し出すかが学習効果を左右します。ストーリーボードを作り込むことで、受講者が理解しやすい順序とテンポを設計でき、指導要領に沿ったコンテンツ制作が可能になります。
LP制作の一環として動画を組み込む際にも、ストーリーボードが効果的です。LP内でどの位置に動画を配置し、どのような内容を訴求するのかを構成全体の流れと合わせて検討する必要があります。たとえば、LPで商品特徴をテキストで紹介し、動画で具体的な使用シーンを見せるといったクロスアプローチで訴求力を高める際、ストーリーボードがあると動画とLPの整合性を簡単に確認できます。
動画のデザインと企業のブランディング・カラーが統一されているかどうかは、顧客の印象を左右する大きな要素です。ストーリーボードの段階でカラーパレットやフォント、ロゴの配置などを具体的に記入することで、ブランドガイドラインとの整合性をチェックでき、修正コストを抑えられます。
企業ロゴをアニメーションで表示し、製品カテゴリーを示す。
・ 課題提示シーンターゲット顧客(製造業や流通業など)が抱える課題を、図解や簡易インフォグラフィックで説明。
・ 製品の機能デモ実際の操作シーンを画面キャプチャで示し、ナレーションでメリットを強調。
・ 導入事例インタビュー既存ユーザーの導入効果をインタビュー形式で動画化し、信頼性を高める。
・ 問い合わせ・コンタクト先提示最後にCTA(Call To Action)を用意し、視聴者が具体的なアクションを起こしやすいように誘導する。
このような流れをストーリーボードで事前に共有することで、デザイン担当や編集スタッフとも認識をすり合わせやすくなります。ホームページ制作やSNS運用とセットで展開する場合にも、動画の方向性とページ全体のトーン&マナーがブレないように調整できるのが大きなメリットです。
ここでは、ストーリーボードに関するよくある質問を6つ取り上げ、それぞれ解説します。
絵が得意でなくても大丈夫です。あくまで構成やカット割りを視覚的に示すのが目的なので、簡単な棒人間や丸だけのイラストでも問題ありません。最近では写真やアイコン素材をコマにはめ込むだけでも、十分にイメージを共有できます。重要なのは「どのような動きやシーンがあるか」を正確に伝えることです。
動画の規模や目的によりますが、企画段階でしっかり練っておくほど撮影・編集工程がスムーズになります。短いSNS動画でも最低限の絵コンテを用意しておくと、撮影時の不明点が減り、結果的には全体の制作期間が短縮することが多いです。大規模なCMやプロモーション動画なら、全体制作期間の2〜3割程度をストーリーボードの作成と検討に充てることもあります。
必要に応じて変更する場合はもちろんあります。ただし、撮影に入ってからの大幅な変更は撮影費やスケジュールへの影響が大きくなります。変更をする場合は、クライアントやチームの合意を得ながら、どの程度の追加コストやリスクがあるかを考慮しましょう。編集段階でのマイナーチェンジ程度なら大きな問題にはなりにくいです。
むしろアニメーションやグラフィック要素が多いほど必要性は高まります。実写撮影以上に視覚要素のコントロールが細かくなり、動きやタイミングを事前に共有しないと完成品のイメージが大きくブレるからです。アニメーターやモーションデザイナーとも早い段階で連携してストーリーボードを作ることで、スムーズな制作進行が見込めます。
含めることをおすすめします。テロップやカメラワークと同じように、どのタイミングでBGMを切り替えるか、効果音を挿入するかを記入すると、より完成形を具体的にイメージしやすくなります。特にクライアントとの合意形成やチーム内の演出意図の共有がスピーディになるメリットがあります。
十分にアリです。動画制作会社や映像ディレクターに依頼してストーリーボードだけ先に作成してもらい、それを元に自社で撮影や編集を進める方法もあります。外注先が豊富なノウハウをもっていれば、プロの視点で構成を洗練させられるため、全体のクオリティ向上が期待できます。ただし、外注する際も自社のブランドイメージやプロモーション戦略についてはしっかりと共有することが重要です。
ストーリーボードは動画制作を成功に導くための重要な設計図です。動画の目的やターゲットを明確化し、シナリオを固め、シーンごとのカット割りやテロップ・効果音・BGMの入れ方を可視化することで、関係者全員が同じ完成イメージを共有できます。これにより撮影時の混乱や編集時の手戻りを大幅に減らし、完成度の高い動画を作ることが可能です。
また、ホームページ制作やSNS運用、LP制作、ブランディングなど、他のマーケティング施策との連携を考えるうえでもストーリーボードは役立ちます。企業が効率的に訴求力あるコンテンツを発信するためには、どの段階でどんなメッセージを伝えるのか、どんなビジュアルで魅せるのかを明確化しておく必要があります。ストーリーボードをしっかりと活用し、動画コンテンツを強力なマーケティングツールへと昇華させましょう。
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